ソウル再び!HOTな旅

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4日目(最終日)  08年8月13日(水) 北村韓屋村,昌徳宮,ソウル駅,帰国


 ハングル漬けの4日間であった。

 冒頭にも書いたように、少しだけ読めるようになると、見た瞬間に頭がフル回転して音を拾おうとするから面白いものだ。音が判っても意味が理解出来るのはほんの僅かであるがそれでも楽しい。このようにトイレットペーパーにもハングルが書いてあると用足し中でもつい読もうとしている自分が可笑しい。
 最終日はとうとう朝から雨。

 それも結構雨足が強い。そういえば2年前にソウルを訪れた際も最終日はこんな雨だった。

 今日の予定は、午前中に家内と娘が予約の汗蒸幕(ハンジュンマク)、自分はフリーなのでソウル市の北側で気になっていたエリアを歩く事にした。
※汗蒸幕とはサウナ&垢すりの事。

 ホテルで派手な水玉模様の傘を借りて出発する。ダンキンドーナッツ(ソウル市内にはあちこちにある)でゆっくり朝食を済ませ、汗蒸幕組と別れた。地下鉄3号線のアングク(安国)駅で地上に出て地図を確認しながらプクチョンハノンマウル(北村韓屋村)へ向けて歩く。車の多い通りから一本外れると、そこここに朝の静寂に包まれた生活の息吹や匂いが感じられる。

 北村韓屋村は600年の歴史を持つ古い家並みが保存されている地域で、東京の下町に相当する。また、ソウルは北側にすぐ丘陵が迫っている為、このあたりも既になだらかな上り坂となっている。年代を感じさせる古い街並みを見下ろす高台には瀟洒な今風の韓屋が並ぶのもこの地域の特徴である。


 ソウルを夜通し遊ぶような日本人の姿はこの時間まだ見られない。それだけに街の静かな姿を堪能することの出来る素晴らしい散歩道であった。ソウル中央高校にユジンの家と、冬ソナファンの方には見所なのだろう。そんな観光客相手に「お茶のむ。チマチョゴリ着る」なんていう端的な表現で商売する店が大いのにはちょっと閉口気味だが。
 日本人向けの明快な案内  HONDAのApe100発見 韓国では珍しい趣味のバイクだ
 やはり韓国のバイクは働き者  冬ソナで有名なソウル中央高校
 この風景、色んなドラマで良く出てくる  ユジンの家から(家は撤去されていた)
 小さな子供を連れたオンマ(お母さん)とアジュマが出てきた。どうやら近くの保育園に預けるところしい。狭い道路には後ろからも子供を送って来た車が何台も詰まっており、更に行く手には行商の車が店を開いているという状況なのに皆平然としている。大きな道路ではクラクションを鳴らし合うこの国の人達は、生活に必要な常識の閾値が日本人の「決まり」的なものを超越していると感じた。
 日本人からすると、その辺が場合によっては野放図とか遠慮が無いという評価に繋がる部分なのかもしれないが、考えようによっては彼らのほうが合理的のような気もする。

 北村韓屋村を後にして東へ歩くとチャンドックン(昌徳宮)の正門前に至る。途中にヒュンデ(現代)の大きなビルがあり、ビジネスマンの姿も良く見られる。


 チャンドックンは韓国語、日本語、英語で専属ガイドが案内をしてくれるので、飛び込みで見学をする自分のような者には大変ありがたい。残念なのは、時間を決めてスタートするので一回のツアーで結構大量の人数で移動しなければならないこと。ちなみに今回の同行者は軽く100人は越えていると思われる。殆どの日本人は観光ツアーのガイドに伴われてやってきているようで、入り口の所でガイドと別れる。ガイドは同業者同士でしばし休憩となる訳だ。

 こんな事情なので、後ろの方でダラダラ付いて行っても面白くない。ガイドさんの追っかけよろしく、先頭集団をキープして回る。グループ単位でのみ見学が許可されているので、次のセクションに移動した時に、広大な敷地に偉容を放つ建物にまったく人影がないのはかなりの圧巻であった。
オンドルの煙突 昌徳宮の奥庭、秘苑

 昌徳宮の見学を終え、まっすぐ南に延びるトンファムンロ(敦化門路)を歩くと、チョンノサムガ(鐘路3街)駅あたりに食堂が連なっているところがある。ククス(韓国うどん)の看板が目に入った。まだ本場のククスを食べていなかったことを思い出すと、到底観光客が入るとは思えないシクタン(食堂)に入る決断をするにはそう時間が掛からなかった。


 扉を開けるとアジュマ達の「オソオセヨ〜」という明るい声が出迎えてくれた。店内を見回しても日本語や日本人など皆無の様子。勢い余って入ってしまったがさてどうする。幸いにして目的のしじみククスの写真が店の中にもあったので指さしで注文することが出来た。


 今回の旅は日本語レスでの食事が多かったが、やはり家族と一緒にいるとそれなりに心強い。だが、こうやって韓国人に囲まれて一人シクタン(食堂)で食すのもなかなかドキドキもので格別の味わいである。とかく刺激的な韓国料理の中にあって、しじみの出汁が効いたククスの味は、控えめで優しくて、激しいが時にはホロっとさせる韓国人の味。
 「ケサンジュセヨ」(会計お願いします)と言った私にそっと4千(ウォン)と書いた紙を出すアジュマ。
 アジュマ達の揃った「アニョハセヨ〜」を背に、ソウルをお腹一杯にした自分は店を後にした。
緊張して店構えや店内は撮影出来なかった

 さて残された時間もあと僅か。次回訪韓時の布石としてソウル駅の様子を偵察しに行った。


 最近はKTX(日本の新幹線に相当)も開業し、首都の駅は流石によく整備されている。電光掲示板も自分レベルでも充分に内容を読み取れる簡潔さだ。これならば窓口で指定席券を買い求め、セマウル号(特急)やムグンファ(急行)号による列車の旅も可能だろう。KTXで釜山まで一気に行く旅もよいし、近郊へムグンファ号へでかけるのも良い。また、案外評判の良い長距離バスの客になるのも次回の目標である。
ソウル駅前から南山方面が見える 旧ソウル駅 現在は博物館

 ソウル駅をもう少し探検したかったが約束の時間が迫ってきた。

 ホテルに付くと丁度タクシーから降りる家内と娘と鉢合わせになった。フロントにはほっとした面持ちでこちらを見ているクォンさんが待っていた。

 いろいろとスリルのあった旅。暑くて大変だったけれど、刺激的でHOTな旅。韓国で出会った皆さんさようなら。またいつの日にか必ずあなた達に会いに行きたい。朝の雨が嘘のような青空のもと、そんな事を考えながら機内の人となった。 


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