作 者:山崎花子 全巻数:3巻 出版社:集英社 初版年:1991年8月 |
両親の再婚で、高校生の直也、まだ幼いサチ子・卓也の3人は、父方の家で義姉のゆかりと暮らすことになる。ところが両親が新婚旅行中に事故で亡くなってしまい、残された4人は途方に暮れる。一度は家族として過した事に意を決し、ゆかりは3人を引き取ることにするが、サチ子はなかなかゆかりに心を開こうとしない。また、殆ど歳の違わない直也にゆかりは戸惑いの連続。直也も逆にゆかりを女性として意識してしまう。
山崎花子の2作目。前作のCHI・GU・HA・GUと比べると試行錯誤が見られて、結果的に中途半端な展開。
1巻の約半分は4人の出会いと状況説明に終始し、今ひとつテーマが見えてこないが、両親の死でトーンは一転する。それまでの明るい状況から、重いテーマの進行が粛粛と進んでゆく。中でも一度は親戚に引き取られたサチ子がゆかりの許に戻ってくるくだりは結構しんみりしていて、「これがメインテーマか」と錯覚。
ところが、サチ子の件も落着した2巻の中盤以降は緊張感の無い進行で、直也に彼女が出来たり、それをゆかりが妬いてみたりで3巻に引っ張っておしまい。
うーん。せっかくあれだけヒューマニティーで押してきたのだからもう少し違った展開もあったのではと思うが残念である。