作 者:水沢めぐみ 全巻数:5巻 出版社:集英社 初版年:1988年1月 |
両親と死別し、祖父のダンじいさんがいるグリーンフィールドへ愛犬ハチと共に身を寄せる主人公メロディーブルー。飛行士を夢見るアークーライトや牧師の息子であるグレイキートン、アークの姉でおしとやかな美人、セーラー達とともに話は進む。
グリーンフィールドでの楽しい日々を過ごすメロディだが、とある日からブルーストーン王国の王位継承問題に巻き込まれていく。自分が女王の孫であること、女王が自分の母親である娘を放擲したいきさつを聞き、グリーンフィールドへの想いをひきずりながらも一度はブルーストーン王国にとどまる。
しかし、そんなメロディーの苦悩を見抜いた女王は彼女をグリーンフィールドへと還すことを決意する。
水沢めぐみ作品の中では珍しい海外もの。背景や服装などはいかにも開拓時代のアメリカ風であるが、キャラクターはやっぱり姫ちゃん(メロディー)と小林大地(アーク)である(^。^)
メロディーが紆余曲折の果てにアークの愛に気が付いていく過程と、幼馴染であるが故にセーラーに素直に気持ちを打ちあけられないグレイなどが中心になって話が進んでいく。
「姫ちゃんのリボン」の時もそうだったが、水沢めぐみの作品の面白いところは必ず別々のテーマーがうまく絡み合っていて読み手を飽きさせないことであろう。「空色のメロディー」も王位継承問題というテーマを使ってスリリングな場面を提供している。
本編以外にも4巻(幼少時の愛犬ハチとの出会い)、5巻(母親やダンじいさんと女王の過去)とそれそぞれ番外編がある。本編に入れなかったのは作者の意図か、単に連載後の加筆であるかは知らないが、作品のまとまりとして本編を補完するような形で高く評価できる組み合わせである。
特に5巻の番外編では、女王と、実はメロディーと血縁の無かったダンじいさんの過去への懺悔シーンが作品全体に流れるヒューマニズムをいやがうえにも盛り上げてくれていて秀逸。