作 者:星里もちる 全巻数:10巻 出版社:小学館 初版年:1991年9月 |
ナミフクDMサービスに勤める不破雷蔵(ふわらいぞう)は2DKの掘り出し物件に引っ越すが、その直後会社の事務所がアクシデントで行き場を失い彼の自宅に事務所として転がり込んでくる。そのうえ社長の縁故で採用した若干15歳の氷山一角(ひやまいずみ)と同居する羽目になる。
快適な住環境=居場所を求めていた不破であったが、そんなこんなでとんでも無い日々が始まっていく。
「居場所」探しがテーマなのだが、「居場所」とは単なる物理的な居住空間のことだけを指すにとどまらずに、自己の存在価値とか価値観の収束とかそういった事柄までもが多彩なキャラクター一人一人の「居場所探し」によって語られていく。
中卒でまだまだ未完成だが真摯な生き様を見せてくれるヒロインのいずみちゃん、大人でも無い子供でもない彼女に翻弄され、初めは保護者的に、そのあと段々と彼女に恋していく不破の2人が成長する姿がとりあえずストーリの核である。が、しかし、各々の登場人物の掘り下げ方がうまいし、なににも増して星里もちるの軽快なコメディーが辛気臭くならずにぐいぐい引っ張っていってくれる部分は絶妙のバランスである。加えていずみちゃんの愛らしさが華を添えて実に「よく出来た」作品であると思う。
いずみちゃんと不破の危機と仲直りまでのラスト数話は、全体のボリュームからして連載の終了への「調整」感が否めない性急な展開だったが、オーラスの不破のいずみちゃんへの言葉が光る。