作 者:柊あおい 全巻数:10巻 出版社:集英社 初版年:1986年6月 |
沢渡香澄(さわたりかすみ)、森下真理子(もりしたまりこ)、泉 沙樹(いずみさき)は中学の仲良し三人組。香澄は弓道部の久住智史(くずみさとし)のことを好きになっていくが、真里子が久住に寄せる熱い思いを知っていた為、自分は身を引こうとする。
香澄の幼い頃、実は久住との出会いがあった。互いの初恋というには幼すぎるその出会いの日々の中、久住は母親と死別する。悲嘆に暮れた久住は香澄を突き放すが、現在の彼は過去の自分の弱さに対する恥じらいと、香澄に対する気持ちが今でもゆるぎないことを知る。
そんな二人だが、お互い平行線のまま高校受験を迎え香澄と久住は同じ高校へ、真里子と沙樹は違う学校へ進学することになる。中学の卒業式の日、香澄は久住へ対する気持ちを真里子と沙樹に見抜かれしまった。真里子は激し、三人は気まずくなってしまう。世話焼きであねご肌の沙樹とは、その後話が出来るようになり香澄のよき相談相手になってくれるが、久住と同じ学校に通う香澄を真里子は許せない。
高校で天文部に入部した香澄は部員の姿の中に久住を見つけ、真里子に対する罪悪感に苛まれながらも心揺れてしまうのであった。
結局さまざまなことを乗り越えて香澄と久住はちゃんと収まるべくして収まるが(そうじゃなくちゃ、りぼん読者が黙っていまい)、すれ違いの二人を見ながらやきもきしまくるのがこの作品のキモ。三角関係に陥った香澄・久住・真里子以外にも沙樹の意外な恋心が披露されたりで、ストーリー展開としては飽きがこない。
「禁断の恋」とはよくいったもので、障害があるが故に香澄の恋も客観的に盛り上がるというもの。また、禁欲的な彼女の性格が、読み手を同情に誘わんとする部分があるが、ここは人によっては評価が分かれる部分だろう。香澄の友情を第一に考える気持ちと自らの恋に対する抑制的感情は感動的だが、ともすれば独善的ともとられかねない。二人のロマンチックな出会い話を幕間にもってくることにより、こういった批判をかわしながら進行していく部分は構成的に実にうまいと言える。
読んでいて素直に思ったのは、とにかくやきもきやきもきやきもき・・・・で、こんな殊勝な娘は今の時代ずぇったい居ないよなと思いながらも、内心久住君になったつもりで香澄にときめいたりしちゃいました。柊あおい、やりますな。