作 者:柊あおい 全巻数:7巻 出版社:集英社 初版年:1990年8月 |
中学2年の結城琴子(ゆうきことこ)は内気な性格の図書委員。琴子と正反対の性格で勝気な小池鈴子(こいけすずこ)や秀才の神崎研一郎(かんざきけんいちろう)が親友。
琴子は研一郎の友達でもあるサッカー部の霧島 海(きりしまうみ)のことが好きになってしまうが、実は海も琴子に密かに思いを寄せていた。そんなある日、母子家庭の海の実の父親が実は琴子の叔父である榊 晴海(さかきはるうみ)である事を海は知る。
海への想いをとうとう打ち明けた琴子は、その海の口からから自分達が従兄妹であることを知らされるが・・・・
少女漫画の基本中の基本をきっちり押さえたキャラクタ配置、とりわけ主人公琴子の内向的性格は読者をやきもきさせるのには遺憾なくその役割を発揮している。
少し辛口なおじさん視点で見ると、友達など周囲は色々な状況で妥協や協調を乗り越えながら成長していくのだが、琴子自身は「待つ」「耐える」ということに終始する部分がいささか不満に思えた。もっとも「りぼん」でそれなりに連載を続けたわけだから読者に支持されたことは事実で、「現実に翻弄されながら思い悩む少女像」という儚さはよく表現できているし、そういった意味では感情移入も出来る。
むしろ海の純情さと逆境に対する逞しさに心奪われるが、なるほどりぼん読者は海くんに恋しているのだなと当たり前なことに改めて気が付く。