作 者:庄司陽子 全巻数:8巻 出版社:講談社 初版年:1982年5月 |
一代で財を成し遂げた大富豪の豪徳寺家。世田谷の一等地に巨大な敷地を持つが、当主に先立たれ、はたまた長女は離婚で出戻りと、男気のないこの家に新人お手伝いの狛江百合(こまえゆり)はのりこむ。
大奥さまの香(かおり)、その娘の奥さま雅(みやび)、雅の三人娘、美姫(みき)・舞姫(まき)・咲姫(さき)、そして美姫の娘である姫子(保育園児)、さらに豪徳寺に40年以上も仕えている北見 里(きたみさと)の女ばかりのかしましい家である。
もともと育ちが良い訳でないうえ、世間知らずな一族だが、ばあやの北見がそんな一家の影の大黒柱でもる。
とにかく経済的には何不自由することはないのだが、自分自身に真っ正直な豪徳寺の女達は愛と恋だけはどうにもままならない。色恋沙汰は、結局お手伝いの百合や同じ敷地に住む運転手の娘、経堂和泉(きょうどういずみ)についても話が進行することになり、しまいには奥さまの雅が警視総監と再婚という極みまで達する。
結局は彼女達が如何に恋をし、伴侶と結ばれたかというお話で、成年女性向娯楽漫画の色彩が濃い。(「愛があふれるアダルトコミック BE LOVE」に連載)
少女漫画的要素と、お昼の奥様ドラマ的雰囲気と、超大金持ちを説明するシチュエーションでの滑稽さがごちゃまぜになっていて、面白いといえば面白い。
始めのうちはつまらなくて読むのを躊躇したが、中盤からテンポが良くなって(というか読むほうが慣れてきたのか?)あっというまに読了。
はちゃめちゃな中、家族愛とか、生き方とかにはちょっぴり筋が通っている部分は作者のこだわりなのかも。